宇多田ヒカルのツアーをソニーの最新技術「360 Reality Audio」で体験、ソニーストア銀座イベントレポート
2019-08-25

昨年、デビュー20周年を記念し、約12年振りに開催した国内ツアー「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018」の映像作品を発売した宇多田ヒカル。その記念として、ソニーストア 大阪 を皮切りに全国のソニーストアを巡回するイベント「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018 Sony Store Days」が開催されている。

宇多田ヒカル本人が実際に着用したステージ衣装の展示や、PlayStation®VRライブコンテンツ体験ブースなどが展示されている中、BAKERYが注目したのは ソニーが現在開発中の最新の音響技術を用いた “360 Reality Audio“ のデモンストレーション だ。

一体どんなものなのか、ソニーストア 銀座 では 8月24日(土) ~ 9月1日(日) の期間限定で開催されているイベント全体の雰囲気も交えてレポートしていく。

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ソニーストア 銀座 5 階が「宇多田ヒカル」で統一されたフロアに

「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018 Sony Store Days」が開催されているのは、ソニーストア 銀座の 5 階。普段はショールーム/ストアとして、ハイレゾ製品からウォークマン、4K ブラビア、PlayStation(R)などの音楽・映像・ゲーム製品を展示しているフロアだ。

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ビルの入り口から、宇多田ヒカルの姿が

 

5 階に上がると、フロア全体が「宇多田ヒカル」で統一されており、全ての BRAVIA では、「Laughter in the Dark Tour 2018」の映像が流れている。どこを見ても 宇多田ヒカル が映るフロアは実にワクワクする。

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また、特に目を引くのは ステージ衣装の展示 。LIVEで実際に着用されていた衣装 2 着が来場者を出迎えてくれる。

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ショーケースの向こうでは、それを着用した宇多田ヒカルのパフォーマンスが見える、店舗でありながらも展示としての満足感がしっかりある

 

“360 Reality Audio”で新たにミックスされた音源が、13.1チャンネルシステムで再生され、よりコンサート体験に近づく

そんなフロアの奥にあるシアタールームで行われているのが “360 Reality Audio” によるライブ体感コンテンツデモだ。このデモは1度に10人までしか体験できないため、事前予約制となっている。
※ 8/25 19:00時点で申込ページを見てみると、ソニーストア 銀座 での体験枠は満席。キャンセル待ちを狙うしかなさそうだ

 

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シアタールームの前で “360 Reality Audio” の説明を読み、期待感を高めながら待つ

 

シアタールームに入って目に止まるのが、体験席を取り囲むように配置された 13.1 チャンネルのスピーカーシステムだ。

“360 Reality Audio” はソニーが現在開発中の最新の音響技術。 新しい音楽表現の方法として、全天球のサウンドフィールド(音場)を、13.1チャンネルのマルチスピーカーで再現しようというものとなっている。

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今回のデモでは「Laughter in the Dark Tour 2018」の中から、冒頭で披露された「あなた」、そして終盤に披露された「Play A Love Song」の2曲を、DVD/BDのミックスを手がけた 録音エンジニア 小森雅仁氏 が “360 Reality Audio” でミックスしたものとなっている。

 

まず、比較のために「あなた」を通常のステレオ音源で 1 曲通して視聴。この時点でも LIVE コンテンツとして十分迫力あるものだと感じる。スクリーンの側から、優れたコンサートが持つパワーが “面” で来るような、そんな感覚だ。

そして、続けて “360 Reality Audio” でミックスされた「あなた」、「Play A Love Song」を視聴していく。

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開演前の客席のざわめきが聴こえた時点で、通常のステレオ音源と明らかに違う

開演を楽しみに待つ観客の声が自分を包みこむように聴こえて来るのだが、まさに客席で一緒に宇多田ヒカルの登場を心待ちにしているような没入感がある。“全天球サウンドフィールド” がどういったものかをすぐに感じることができた。

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また印象的なのが リアルな残響感 だ。歓声が上がった際に感じられる残響感からは、会場の大きさ感じるようなリアルさが感じられた。優れたエンジニアによってミックスされた 13.1 チャンネルの音源で全方位から包まれることによって、よりリアルに感じることができているのだろうか。

そして演奏がスタートすると、このシステムの “音楽体験としてのレベルの高さ” も感じられた。

“スピーカーの継ぎ目” のような抜けた部分は感じさせず、密でありながらも、宇多田ヒカルの声や各アーティストのプレイといった各パートが、綺麗に棲み分けられて耳に届いて来る。特に「あなた」でストリングスの演奏が入ったとき、それぞれが豊かな音で「ステージから届いて来る」かのように感じられた。

 

豊かな“音楽体験”として非常にレベルが高かった今回のデモ体験。2曲の演奏を終えると、LIVE映像の視聴というよりはコンサートを体験したような満足感を抱くことができた。

 

“360 Reality Audio” は新しい音楽体験のエコシステムへ

アーティストやクリエイターの創造性や音楽性に従って、ボーカル、コーラス、楽器などの音源に距離や角度などの位置情報を付けて全方位に配置することが可能となる “360 Reality Audio”。

今回の「Laughter in the Dark Tour」では、“360 Reality Audio” 化を行う可能性も想定し、映像作品化のためのマルチチャンネルにプラスして、アンビエントマイクを数本立てていたそうだ。それを 13.1 チャンネルの環境で小森氏がミックスしたのが、今回の2曲だという。

 

しかし、個人がこの13.1チャンネルのスピーカーシステムを持ち、体験できるようになるのかというとそれは考えにくい。この点についてもデモ体験で説明があった。

ソニーでは普及に向けて、ヘッドフォンでこの 13.1 チャンネルのスピーカーを体感するような全天球音場の技術を一緒に導入し、エコシステムとして提供して行く予定 だという

主要音楽レーベルや音楽配信サービスなどと連携し、対応コンテンツの制作から配信、再生に至るまでの技術提供を通じて、エコシステムの形成を図っていく

今回のデモ体験は人数が限られてしまう。だがこれらの取り組みで、新しい音楽表現・体験がより一般的に普及していけば、より多くのアーティストの “360 Reality Audio” が聴けるようになる。実に楽しみだ。

 

話題となった VRライブコンテンツ の体験ブースも。様々な形での音楽体験の魅力を感じられるイベント、ぜひ体験を。

”360 Reality Audio“の他にも体験コンテツとして、「PlayStation®VR ライブコンテンツ(「光」「誓い」)体験ブース」も展示されている。

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PlayStation®VR ライブコンテンツ「光」「誓い」体験ブース

 

ソニーの最新テクノロジー×コンテンツ×クリエイターが集し、最高のVRライブコンテンツを目指して制作されたこのVRコンテンツ。未体験の方はぜひこの機会に体験してほしい。

関連記事:
新しい音楽×VR体験の裏側『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018–“光”&“誓い”–VR』開発トークイベント レポート
https://www.bakery-lab.tokyo/2019/01/hikaru-utada-vr/

 

また店内では、ハイレゾ試聴のコンテンツが宇多田ヒカルの音源になっていたり、店内のBRAVIAではライブ本編の全編上映も実施されていたりする。

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ハイレゾ試聴機の音源も、宇多田ヒカルの「Face My Fears」、「初恋」全曲に

 

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東京では ソニーストア 銀座 にて 8月24日(土) ~ 9月1日(日) の期間限定で公開。その後、ソニーストア 福岡天神 にて、9月6日(金) ~ 9月15日(日) に開催される。

宇多田ヒカルファンだけでなく、ソニーの最新機器による良質な音楽体験に触れてみたい人も。ぜひチェックしてもらいたいイベントとなっている。近くに行かれる際には、ぜひお立ち寄りを。

 

■ ソニーストア 銀座 「“360 Reality Audio”によるライブ体感コンテンツデモ」イベントページ
https://ers.sony.jp/SEvent/pageEventDetailEVT?e=a2O5F0000039XqsUAE&p=%E9%8A%80%E5%BA%A7

 


Yuki Abe

音楽・エンターテインメントとテクノロジーに焦点を当て 「音楽・エンターテインメントが持つ魅力・パワーを高め、伝える体験(演出や技術、それらを活用したマーケティング施策など)」、 「アーティストやクリエイター、音楽業界がよりエンパワーメントされるような仕組み(エコシステムや新しいビジネスの在り方)」 を発信・創造していくことに取り組んでいるクリエイティブ・テクノロジスト/ライター。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。その他、LIVE演出やVJの技術開発にも取り組んでいる。