マジカル・パンチライン×人工知能クリエイター『 MV先行型 楽曲制作プロジェクト 』による “楽曲の無い” ミュージックビデオが公開!
2017-10-15

Main

McCANN MILLENNIALS(マッキャン ミレ二アルズ)が開発した、世界初のCMを制作するためのクリエイティブディレクション人工知能「AI-CD β」と「マジカル・パンチライン」の共同プロジェクト『 ミュージックビデオ先行型 楽曲制作プロジェクト 』。
その成果としての“楽曲の無い”ミュージックビデオが公開されました。

ミュージックビデオはYoutubeにUPされています。AIとクリエイターの共創による新しい可能性の模索の一端、要チェックです。

マジカル・パンチライン – タイトル未定 [MUSIC VIDEO]

youtube:https://youtu.be/MdKNsssH_Qs

 

『 ミュージックビデオ先行型 楽曲制作プロジェクト 』とは

通常の楽曲制作では、楽曲を制作してからMV企画・撮影へと進んでいくもの。

それに対してこの『 ミュージックビデオ先行型 楽曲制作プロジェクト 』は、TVCMのクリエイティブディレクションを行う「AI-CD β」とのコラボレーション。TVCMの観点から「AI-CD β」がアイドルの新曲プロモーションに最適な映像表現を提案し、それを元にミュージックビデオを撮影、その映像に合わせて後から楽曲を制作するという、本来の制作ステップとは全く違う世界初の取り組みが行われているプロジェクトです。

今回新たに、データベース上へ音楽系TVCMを構造分解した情報を追加し、導き出されたクリエイティブディレクションが、『【狩猟本能】を【学園】モチーフで、【擬物化】を使い【アンニュイ】なトーンで、【ドキッとする】映像で伝えろ。』という難解なもの。

このディレクションを元に、映像監督をはじめ制作スタッフが“楽曲の無い”状態で撮影に挑んだミュージックビデオが遂に公開されました。

Sub1
撮影現場にて、制作スタッフとAI-CD β(写真左)

 

“楽曲の無い”ミュージックビデオ、難解なAIのディレクションを実現していくのはクリエイターのチャレンジ

人工知能によって導きだされた難解なクリエイティブディレクション。しかもAIの特性上、ディレクターとのディスカッションはできないため、ある種の“制約”のような状態で制作は進められました。
今回は映像監督をはじめ、振付け師、衣装デザイナーなどの制作スタッフが通常の制作フローとは異なり、”楽曲の無い”状態で撮影するにあたり、様々な工夫が凝らされています。

楽曲が無い中で、特に1. ダンス / 2. リップシンク(歌っているシーン)の2つのシーンをどうするかが、大きなチャレンジとなりました。

Sub2
公開されたミュージックビデオより、ダンスとリップシンクシーン

まず今回の楽曲のΒPM(楽曲のテンポ)に関して制作スタッフ内で議論し、BPMを135に設定。そのBPMとクリエイティブディレクションを元に、今回のダンスを振付け師に依頼。
特にアイドルのミュージックビデオでは欠かせないリップシンクの撮影では、楽曲が無いため、過去の楽曲からBPMが近い曲を参考に、 歌っているニュアンスを残しながら、口元をやや隠すなど、試行錯誤し撮影されました。

Sub3
ドキュメンタリー映像 より、ダンスとリップシンクシーンの撮影風景

 

ミュージックビデオ先行でどのような楽曲が生まれるのか、制作過程も順次公開中

現在、今回公開された映像を元に、作詞家・作曲家に楽曲制作を依頼しているとのこと。曲の構成も全く決まっておらず、リップシンクで映っている口元に合わせて楽曲制作しなければならないとう、非常に難易度の高いチャレンジになっています。

本プロジェクトの制作過程を収録したドキュメンタリー映像も引き続き公開されています。今後も楽曲制作チームの苦悩や、メンバーのレコーディング風景などを公開していく予定とのことです。

【マジカル・パンチライン YouTube公式チャンネル】
https://www.youtube.com/channel/UC2W4F0roFIu5jN9ACjB6VWA/

 

人工知能クリエイター「AI-CD β」について

McCANN MILLENNIALS(マッキャン ミレ二アルズ)が開発した、世界初 CMを制作するためのクリエイティブディレクションが出来る人工知能です。人工知能の開発のため、毎年優れたコマーシャル作品に贈られるACC CM FESTIVALテレビCM部門の過去10年分の受賞作品の他、さまざまなTVCMを構造分解し独自のタグ付けをしました。この人工知能によって、データベース上から商材や訴求内容に応じて最適なCMを作るためのクリエイティブディレクションを行う事が出来るよう設計されています。

 

​” McCANN MILLENNIALS(マッキャン ミレ二アルズ)” について

Sub5
ミレニアル世代(1980–2000年前半生まれ)のメンバーで構成され発足したイノベーションプロジェクトです。ミレニアル世代とは幼少期からインターネットに接続された環境で育ち、テクノロジーに対するリテラシーが高く、これまでの世代とは大きく違う価値観と能力で未来を創造するジェネレーションといわれています。当プロジェクトでは日本におけるマッキャン・ワールドグループ傘下の各社を横断的に連携するだけでなく、グローバルネットワークの活用や、大学・他企業等との連携を通して会社や国境の超えて柔軟に繋がり、オープンイノベーションスタイルでプロダクト及びサービスの開発を行います。本プロジェクトを進行するメンバーは吉富亮介、折茂彰弘、岩崎菜都美、中沢渉の4名。

 

マジカル・パンチライン について

Sub4
マジカル・パンチライン=通称マジパン。“魔法”をコンセプトに、様々なパロディやオマージュを織り交ぜた世界観、遊び心やユーモアあふれる活動を特徴とする。ハイレベルなルックスとユニークなコンセプトで話題を集め、2016年7月のデビューから半年足らずでTVやラジオのレギュラー番組がスタート、さらにメンバーそれぞれがモデルやグラビアでも活躍するなど、いま注目の美少女たち。
人工知能のクリエイティブディレクションを元に、ミュージックビデオ先行にて制作中の2ndシングル「タイトル未定」を2017年12月20日にリリースする。
【マジカル・パンチライン 公式サイト】 http://magipun.com/

 

– COMMENT –
AIを活用した新たな制作、注目せざるをえません!

AI活用のキーワードと言えるのが「AIと人間がいかにコラボレーションし、新たなものを作り上げていくか」ということ。まだまだ一つ一つのことに特化したアウトプットしかだせないAI。それを侮るのではなく、過度に期待するのではなく、いかに現在のフローに組み込みながら、そのフロー自体やクリエイティブ全体を変化させるかが重要であり、それはAIエンジニアだけでは出来るものではなく、現場やフローの側からAIにアプローチしていくことで未来が生まれていくものだと思います。

今回は世界初のMVのクリエイティブ・ディレクションという形でのコラボレーション。
その他にもまだまだAIを活用可能な領域はあります。次はどこに適用できるか、要注目です。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。
 
 
 


Yuki Abe

音楽・エンターテインメントとテクノロジーに焦点を当て 「音楽・エンターテインメントが持つ魅力・パワーを高め、伝える体験(演出や技術、それらを活用したマーケティング施策など)」、 「アーティストやクリエイター、音楽業界がよりエンパワーメントされるような仕組み(エコシステムや新しいビジネスの在り方)」 を発信・創造していくことに取り組んでいるクリエイティブ・テクノロジスト/ライター。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。その他、LIVE演出やVJの技術開発にも取り組んでいる。