イープラスは、有料視聴チケット制のライブ・ストリーミング・サービス「Streaming+」(ストリーミングプラス)をスタートすることを発表した。5月15日よりプレオープンする。
音楽ライブに限らず、演劇、イベント、トークショー、美術展などジャンルを問わずサービス提供していく。
新型コロナウイルスによる影響で注目されるストリーミングサービスに、チケット販売・ライブエンタテインメントを提供するイープラスがどのように参入するのか。ぜひ注目したい。
5月15日よりプレオープン、段階的に強化されていくサービス
イープラスは4月1日に、世界で活躍する人気ピアニスト 反田恭平氏 がプロデュースしたサントリーホールでの無観客コンサートの有料視聴チケット制ライブ・ストリーミングを全面サポートしていたが、そこで会場キャパの5倍以上の視聴チケットを販売したことで、新たな興行ビジネスの可能性を強く実感。さらにライブ配信に関して毎日多くの問い合わせを受けている現状を踏まえ、有料ストリーミング・サービス「Streaming+」(ストリーミングプラス)の提供開始を発表した。
サービスは5月15日よりプレオープン、そこから段階的に機能強化を行っていくことが発表されている。
1、 プレオープン(5月15日より)
プレオープンとして、 有料視聴チケット販売とライブ・ストリーミング配信を5月15日より提供する。
チケット購入は通常のチケット販売と同じ手順になり、購入時のイープラスIDでログインすることでイープラスのサイトにて視聴が可能となる。
動画配信の仕組みは米国のVimeo社を利用する。
同社が運営するオフィシャル・グッズ販売サイト「e+ SHOP」に委託されたグッズを視聴ページで紹介することで、さらなる収益機会も提供していく。
2、 グランド・オープン(5月30日より)
視聴チケット1枚で同時に視聴できる端末数を制限し、より実際の興行に近い形を実現する。
3、 独自配信サービス開始(7月より順次)
動画配信の基盤をより強固にするために、Amazon Web Service, Inc.の協力のもと「AWS Elemental MediaLive」をベースとしたサービスを開始し、視聴環境や性能の向上を実現させ、以下の機能を順次追加する予定。
- 自宅、 スタジオ、 他会場など多拠点を結ぶマルチ・ロケーション・ライブ・ストリーミング
- スマートフォンや無線機能付きビデオカメラを使った簡易配信アプリの提供
- ティッピング(投げ銭など)
- ライブ・コマース(視聴画面からグッズ購入)
- 海外向けインバウンド販売
また、前述の同時視聴端末数について、配信者のご要望に応じた対応を行う。
4、 ハウス・ストリーミング(7月より順次)
全国各地のライブハウス、イベント会場に常時配信可能な配信アプリケーションを提供し、会場スタッフ、乗り込みスタッフが身軽に、かつ定常的にライブ・ストリーミングできる環境を提供する。
6月30日までの配信分には、初期利用キャンペーンも有り
気になるのは販売手数料だが、チケット販売に関わる決済、販売システム、同社プロモーション、配信に関わるサーバー、システム運用等のコストを含めて、視聴チケット売上の8%~15%となっている。(購入者システム利用料の取得有無により異なる)
ただ、6月30日までの配信分については一律3.9%(購入者システム利用料なし)となる初期利用キャンペーンが提供される。
また配信者のニーズに応じてサポートプランは3つ用意されている。
「セルフ」プラン
ベーシックプラン。同社よりエンコード用のRTMPとStream Keyを提供され、それを用いて配信者自身の設備で配信する。
「トータル・サポート」プラン
会場から配信環境まで、同社が運営する「eplus LIVINGROOM CAFE&DINING」を利用するパッケージプラン。
「配信サポート」プラン
配信機材、カメラマン、スイッチャー、ディレクター、配信管理担当(同社配信チーム含む)の手配を行うプラン。
「トータル・サポート」と「配信サポート」はチケットの販売手数料とは別に費用が発生する。費用は個別見積もりだ。また、全てのプランにおいて著作権に関する費用は別途案内される。
ハイエンド向けに、「MUSIC/SLASH」の有料視聴チケットの販売も開始予定
また、業界最高音質レベル(AAC-LC 384kbps)、強固なDRM(デジタル著作権管理)が必要となるハイエンド向けには、「Streaming+」とは別に、それらに対応した有料ライブ・ストリーミングサービス「MUSIC/SLASH」(ミュージックスラッシュ)を企画・運営する株式会社SPOON社との業務提携により「MUSIC/SLASH」の有料視聴チケットの販売を行うことも明らかにしている。
こちらのサービス開始は6月26日の予定だ。
音楽・エンターテインメントとテクノロジーに焦点を当て 「音楽・エンターテインメントが持つ魅力・パワーを高め、伝える体験(演出や技術、それらを活用したマーケティング施策など)」、 「アーティストやクリエイター、音楽業界がよりエンパワーメントされるような仕組み(エコシステムや新しいビジネスの在り方)」 を発信・創造していくことに取り組んでいるクリエイティブ・テクノロジスト/ライター。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。その他、LIVE演出やVJの技術開発にも取り組んでいる。