JALによる「“若者カルチャーとの共創”非航空利用時における生活者とのコミュニケーション戦略」- Modern Age Marketing TOUR 2017 (1)
2017-12-21

2017年12月12日に開催された、国内初のエンターテインメントマーケティングレーベルModern Age/モダンエイジによる「Modern Age Marketing TOUR 2017 “音楽・エンターテインメントで企業をデザインする” ブランド戦略 – JAL、宇多田ヒカルの事例から学ぶ “生き続けるブランディング”の正体 –」。

音楽・エンターテインメントによるブランド戦略の “最前線” と “これから” について語られたこのツアーについて、BAKERYでは3部にわたってレポートする。

この第1部でレポートするのは、イベントの最初のセッションとなった、日本航空株式会社 コーポレートブランド推進部 Webコミュニケーショングループ長 山名 敏雄氏による講演「“若者カルチャーとの共創”非航空利用時における生活者とのコミュニケーション戦略」。

日本航空株式会社(以下、JAL)という大企業が取り組む、航空利用シーン以外での若年層とのコミュニケーション戦略。そこからは“エンターテインメントイベントとブランドとのコラボレーションのヒント”があった。

 


都市と都市、人と人をつなげてきたJALが行う“若者とつながる戦略”

 

飛行機に乗る以外の日に、若者に好きなってもらうきっかけをいかに生み出すか

航空会社を選ぶ基準とはなにか、それは「シートや機内食の良さよりも、“なんとなく好き/嫌い”という感情面で選ばれている」ということだという。若いころに記憶に残った印象から、その航空会社を利用し、さらに貯まるマイルによってスイッチすることは少なくなってしまうため、航空会社にとっては若年層への働きかけが重要だ。

そこで航空会社の課題となるのは、「航空会社はブランド体験をしてもらう機会が少ない」ということ。これに対しJALでは、FacebookやTwitter、Instagram、YouTube、LINEといったSNSももちろん活用しているが、「そのSNSを利用している人としかつながれない」こと、そして「友達同士の繋がり目的でしかSNSを利用していない人も多い」という側面もあることから、その課題解決のためにJALの“イベントに対する取り組み”という答えを導き出した。

JALでは「JAL工場見学~SKY MUSEUM~」や「JAL折り紙ヒコーキ教室」などのイベントを開催している。ただ、それらは “航空に関連するイベント” という前提であり、興味のある人にしかリーチしていない。そこで近年意欲的に行っているのが、エンターテインメントイベントへの参加だ。

2017年は「ニコニコ超会議」、「東京ガールズコレクション 2017 S/S」、「ULTRA JAPAN 2017」へと参加しているJALが、このようなエンターテインメントイベントへ参加することでどのような効果を生んでいるのか、そしてそれを企業としてどう捉え、どうアプローチしているのかが講演では語られた。

 

エンターテインメントイベントへの意欲的な参加、そこから生まれるコミュニケーション

ニコニコ超会議」への参加は今年で3回目。既に 「JAL=ダンス」 という明るくポジティブなイメージは確立されている。

「ニコニコ超会議」に向けて、イベントを盛り上げるために多くの“踊ってみた動画”が投稿されている中、JALでは、チアリーディングチームやダンス経験のあるスタッフが実名で登場するムービーを制作し、公開。そのムービーのクオリティの高さからファンが生まれているのだ。

上記の動画中のコメントからも、それが見て取れるだろう。さらに今年の「ニコニコ超会議 2017」では「超踊ってみた supported by JAL」という形でイベントコーナーに参加し、イベント参加者との繋がりを生み出している。

 

さらに系統の異なるイベントとして、「東京ガールズコレクション2017 S/S(以下、TGC)」にも参加。

ファッションを超えてエンターテインメントショーとなっているこのイベントにおいて、JALは趣向を凝らしたフォトスポットとCAの制服を着ることができるブースを出展。最大1時間待ちの大人気ブースとなった。

また、TGCのランウェイを歩くモデルを主役としたイメージムービーも制作。“来場者なら分かる映像設計”に、イベントのカラーを理解しながらそれに沿ってJALのブランドを発信していく様子が感じられた。

 

さらに、「ULTRA JAPAN 2017」では、JALがお客様の旅の始まりをエスコートする際の“おもてなし”の心と、航空機に搭乗して非日常の世界へと飛び立つ時の高揚感を伝える体験型ブースを出展。

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(ULTRA JAPAN 2017のブースの様子)

このブースは、フェスの邪魔にならないように配慮されたノベルティの扇子の配布や、神経衰弱ゲームの伴う来場者へのタトゥーシールの貼り付けをJALのスタッフが担当。そうしたタッチポイントを通して、ブース来場者とスタッフとのコミュニケーションが生まれる設計としたことが特徴。結果的に、ULTRA来場者の体験を“JAL流のおもてなし”で盛り上げる形となった。

 

戦略的なイベントへの参加、細かなペルソナを描いての企画

このようなイベントへは、ただ闇雲に参加すればいいのではない、と山名氏は語る。

準備や人的リソース、費用が相応にかかるイベントへの参加にあたって、JALではターゲットとなる若者の文化を分析し、年間を通じてどのようにアプローチしていくかを考え、効果的なイベントを選出しているという。さらにそのイベントの来場者ペルソナを細かく作成し、出展ん内容を考えていることで、効果的な施策とすることができているという。

出展後は、BIツールを活用し、イベント参加に対して“どれだけ大きな反響があったのか”をKPIとして効果測定しているとのこと。これは短期的な効果が見えにくいイベント参加について有効なTipsだと感じられた。また、トーク後の質疑応答のなかで、反響以外の方法での態度変容測定も考えていることが明らかになった。

 

なおセッションの最後には、直近のイベントとして2017年12月15日にドワンゴと協働で開催する予定の「ニコニコ 踊ってみたフェス Porwered by Japan Airlines」が紹介された。


公式ページより

 

このイベントはJAL羽田格納庫で行われるダンスイベントで、イベント終了後には「JAL工場見学~SKY MUSEUM~」に参加できるような導線が用意されている。

 

 


エンターテインメントイベントを通じて生活者と繋がるブランドのモデル

ファンと繋がる場として、ブランドがいかにエンターテインメントイベントを活用できるかが語られたこのセッション。

「エンターテインメントの力によってブランドのイメージを強めることができる」ということ、なかでもセッション中に紹介された“ニコニコの踊ってみた動画”への多くのコメントからも強く感じることができた。

 

続いての「宇多田ヒカル、AIの事例から学ぶ音楽と企業の新たな関係性」はこちら

 


Yuki Abe

Yuki Abe

マーケティングコミュニティプラットフォーム「cocosqure」の開発 及び 音楽・エンターテイメント音楽とテクノロジーを掛け合わせたプロダクト/サービスの情報発信および開発を行っている“エンターテック・テクノロジスト/ソフトウェアエンジニア”。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。