【“IoT”と音楽・エンタメの未来 】第1回 IoTとは何か
カテゴリ:エンターテック
2015-12-01

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最近何かと話題のキーワード “IoT”(インターネット オブ シングス、モノのインターネット)。
事例は多く語られるものの「そもそもIoTとは何か?」「音楽・エンターテインメントにどのような影響を与えうるのか」について語られているものが少ないように思います。

ただ、確実に音楽・エンターテインメントを含め、全てのビジネスにインパクトを与えうるこのトピックを、「そもそも何なのか」から「今後音楽・エンターテインメントに与える影響とは何か」までを数回に分けて解説・考察していきます。
 
第1回目は「IoTとは何か」。
IoTが連れてくる音楽・エンターテインメントの未来を覗くための前提を、しっかりと整理したいと思います。

 

“IoT”とは

“IoT”(Internet of Things、モノのインターネット)という言葉、これは特定の技術やモノを指している訳ではありません
様々な定義が世の中にはありますが、ここでは以下の言葉で整理します。
 

あらゆるモノにセンサーやデバイスを付けることで、
“モノ”が主体となってインターネットとやり取りできるようにしよう

そのスマート化したモノに “モノ自身の状態”だけじゃなく、その周囲の“人や場の動き(=コト)”に気を配らせ、あらゆるモノゴトをインターネットに接続しよう。

それら“モノゴト”から得られた情報を蓄積・分析しフィードバックすることで、より新しい/大きな価値やサービスを生もう。という考え方

 
これまでのインターネットは、人が“操作し、自発的に働きかける”ことで情報を受信・発信しサービスは成り立ってきました。
例えば…“何かをしよう”と思い立って人がディスプレイに向かい、キーワードを入力して検索を実行、検索結果を見て情報を得る、といったイメージです。
 
IoTは、モノに センサーという “目や耳” を付け、さらに コンピュータという ”目や耳から得た情報を解釈し情報をやり取りする頭” をつけることで、
人が操作しなくとも『自動でモノが制御し価値を生むようにしよう』、『これまでに取れなかった情報を取得・活用していこう』という考え方と言えます。
(それを実現するために、様々な技術が使われることとなりますが、これがIoTを理解しづらい原因でもあります。)
 

では、そうすることで何が得られるのか?それは以下になるのではないでしょうか。

  • これまで人がいちいち面倒を見ていることができなかった「モノの状態」を、より細かく・より正確に取得することができる
  • “操作”が人の「意識的な行動」の結果だとすれば、普段の動作や表情といった「“無意識”の行動」を取得・数値化できる
  • 人の五感を超えた粒度での情報を、デジタルという共通の値として取得することができる

 
また、IoTにはさらに大きな可能性を秘めているのですが、それは次回以降により深く迫っていきます。
 
 

IoTはなぜ掴みにくいのか、その構成要素とは

“IoT”が分かりづらい・イメージしづらい理由は、「それ自体は概念であること」に加えて
「様々な技術で構成・実現されるため」だからだと言えるでしょう。構成要素を考えるにあたっては、様々な切り分け方が考えられますが、
この記事内では簡便化のため、下記4つで分解したいと思います。

センサー
モノの目や耳になるもの。光や振動・圧力・水分・音などの情報をデジタル情報に変換してくれる。様々な情報が現在では取得可能となっている。
sensor

コンピュータ
モノを“スマート化”し、センサーで信号化した情報を処理して意味を持たせ、インターネットに接続して情報を送受信する。

ネットワーク・データベース
センサーで取得し、コンピュータによって整形された情報で、限られたエリアでのネットワーク(ローカルネットワーク)やインターネットとやりとりを行う。
また送られた情報を意味ある形で蓄積する。

ビッグデータ分析
データベースに蓄積された情報を分析し、価値を生み出してサービスや表現に利用する。
(あらゆるモノからの情報を集めるため、自ずとビッグなデータになる。そのためビッグデータとともに語られることが多い)

 
 

なぜ今、”IoT”が盛り上がっているのか

ここまでのIoTという考え方に触れて「そんなものは前からあるのでは?」と思われる方もいるかもしれません。
事実、IoTの言葉は1999年からある言葉であり、IoTの一例とも言える 日本コカ・コーラの 自販機在庫管理ネットワーク(自販機にFOMAを内蔵してリアルタイムで在庫管理するシステム)は2008年から導入されています。
ではなぜこれほどまで今になって話題になっているんでしょうか。

なぜ盛り上がりを見せているのか、それは「IoTを構成する各要素の技術が向上し、活用・実用する環境が整ってきたから」と言えます。
IoTを構成する要素毎に見てみましょう。

センサーについて
技術の向上により「取得できる情報の精度が向上」し「これまで取得できなかった情報も取得可能に」。
さらに「小型でどこにでもつけられるサイズ」のセンサーが「安価に購入できる」ようになってきています。
(パーツを扱っている秋月電子通商のこのページを見ると、驚くほど安価に購入できるのを知ることができます。)
 
 
コンピュータについて
ある意味センサーとセットと言えますが 「電池消費を最小限に抑えた通信技術(BLE)が登場」し、またセンサーと同様「小型でどこにでも組込・取り付けできるサイズ」のが登場してきました。
(例えばIntel EdisonはSDカードのサイズの上に、CPUやメモリ、bluetoothが載っているものが、僅か数千円で購入できたりします。)
小型化の要因としては、サイズを小さくする技術の進歩もさることながら、後述する「ネットワーク・データベース」の進歩も関わっています。
重たい処理はインターネットを経由し外部で実行させることで、そこまでハイスペックかつ大きなコンピュータが必要となくなる、
また、それを遅れなく実施できるネットワークの速さが実現できていることが大きいと言えます。

ネットワーク・データベース
ネットワークは「通信速度が高速かつ安価」に、データベースについても「大容量のハイスペックなデータベースが圧倒的安くなり」、昔に比べればタダ同然と言えるくらいの価格になりました。
またYahoo! myThingsAWS IoTなど、作成したセンサーデバイスの情報を簡単にインターネット経由でやりとりするプラットフォームの登場も、この流れを加速させています。

ビッグデータ分析
「高速に処理できるコンピュータの開発・普及」や「人工知能など、高速で情報を処理できる方法の開発」が進んでいます。直近では

 
 
このように各要素の環境が整ってきたため、本格的にIoTを活用できる土台ができたこと、またいずれも安価に使えるようになってきたことから、スタートアップや個人でもアイディア次第で新たな価値を創造でき、ますます盛り上がりを見せていると言えます。
(センサーやコンピュータを入れる筐体も3Dプリンタですぐに試せる現在、ハードとソフトの垣根もどんどん崩れてきています。)

 
昨今のニュースや記事では、IoTに関連すればこれらの各要素単独でも”IoT”と表現してしまっていることが、「そもそもIoTとは何だっただろうか?」と混乱される原因になっています。
ですので、IoTのニュースや最新情報に触れる際には、「IoTのどの要素についてのニュースなのか」という視点で見る事で、全体感をおさせた上で理解できるのではないでしょうか。
 
  
第1回はそもそものIoTについて整理してきました。
第2回以降も今回の内容は重ねて整理しながら、音楽・エンターテインメントとの関わりを整理していきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


2015-12-01 | Posted in エンターテック | by Yuki Abe
Yuki Abe

Yuki Abe

マーケティングコミュニティプラットフォーム「cocosqure」の開発 及び 音楽・エンターテイメント音楽とテクノロジーを掛け合わせたプロダクト/サービスの情報発信および開発を行っている“エンターテック・テクノロジスト/ソフトウェアエンジニア”。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。