「ミュージックビデオなのに、楽曲を聴くためにはビデオを見られない」、そんなミュージックビデオ(MV)が公開されました。
それは篠崎愛のデビュー・アルバム『EAT ‘EM AND SMILE』のプロモーションとして、12月8日に公開されたMVサイト「LISTEN TO AI SHINOZAKI──私を、聴いて。」。
このMVはスマホのみで再生可能な“スマホMV”。
スマートフォンの機能を活用した「“ビデオを見るか”・“楽曲を聴くか”の選択を迫るMV」になっています。
「LISTEN TO AI SHINOZAKI──私を、聴いて。」MVページ
※PCからサイトへのアクセスは可能ですが、MVはスマホからのみ視聴可能です。
DEMO MOVIE
サイトにアクセスすると映像が再生されるのですが、このMVはスマホが上向きになっている限り楽曲が再生されません。つまり、楽曲を聴くにはスマホを裏返さなければならない、という作りになっています。
また、スマホを裏返すと、楽曲は流れるものの映像は消えてしまいます。(下から覗いても映像を見ることはできません)
つまり、“映像”と“楽曲”両方を楽しむことはできず、どちらかを選ぶ必要があるMVになっています。
映像を見ると、楽曲は流れず
画面を伏せることで、楽曲を聴くことができる
コンセプトメッセージは『“歌手、篠崎愛として、歌を聴いてほしい。”』、『「ビジュアル封印」=「歌を聴いて」』。
また、MVが終わると、どれだけ楽曲を再生したかが表示されるとともに、アーティスト本人からのコメントが表示されます。
“グラビア・アイドル”でもある彼女が歌手としてデビューするにあたり、
ビジュアルではなく歌を聴いてほしい、というコンセプトを表したプロモーションになっています。
このスマホMVの公開期間は2015年12月8日(火)~1月8日(金)。
デビュー・アルバム『EAT ‘EM AND SMILE』は12/9リリースとのこと。
– Comment –
スマートフォンでのインターネット閲覧がメインとなりつつある現在、Webサイトの構築などでは「モバイルファースト」(モバイルを第一に考えた設計)が浸透してきていますが、それは映像にも波及してきています。
スマートフォンに最適化した縦長の映像コンテンツを配信するサイトも出てきていますが、このプロモーションでは“スマートフォンの強み”を利用した施策と言えるのではないでしょうか。
スマートフォンには当然“マイク”や“タッチパネル”が搭載されていますが、それ以外にも動きを捉える“加速度センサー”や、傾きを取得する“角度センサー”なども搭載されています。
この施策では角度を利用し、見ている/見ていないでコンテンツを出し分けしていると思われます。
今後はMVも、スマートフォンに最適化されたコンテンツや、スマートフォンならではの情報を利用したインタラクティブなコンテンツがさらに登場してくると思われます。
そうした中でやはり価値をもつのは、この事例のような「コンセプトに沿った技術の活用」が出来ているかどうかにかかってくるのではないでしょうか。
ソース:
- 「LISTEN TO AI SHINOZAKI──私を、聴いて。」
http://listen.aishinozaki.jp/
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2015-12-08 | Posted in マーケティング/クリエイティブ | by Yuki Abe
Yuki Abe
音楽・エンターテインメントとテクノロジーに焦点を当て 「音楽・エンターテインメントが持つ魅力・パワーを高め、伝える体験(演出や技術、それらを活用したマーケティング施策など)」、 「アーティストやクリエイター、音楽業界がよりエンパワーメントされるような仕組み(エコシステムや新しいビジネスの在り方)」 を発信・創造していくことに取り組んでいるクリエイティブ・テクノロジスト/ライター。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。その他、LIVE演出やVJの技術開発にも取り組んでいる。