Rhizomatiks Research×ELEVENPLAY「border」レポート
カテゴリ:イベント/LIVE
2015-12-06

Rhizomatiks Research(ライゾマティクス リサーチ)が企画制作する、ダンスカンパニーELEVENPLAYとのダンスインスタレーション「border」が12月4日(金)〜12月6日(日)に、spiral hallにて公開されました。
最新の技術とダンスの融合が織りなす新体験をレポートします。

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Rhizomatiks ResearchとELEVEN PLAYについて

「Rhizomatiks Research」は、人とテクノロジーの関係について研究し、アーティスト、研究者、グラフィック・デザイナー、スポーツ選手、ダンサー、振付家、演出家、音楽家、エンジニアなど様々なクリエーターとのコラボレーションワークを通じて世の中にアート、エンターテイメントプロジェクトを発表していくための組織。
公式ページより)

また、「ELEVENPLAY」は、Perfumeの演出・振付も行う演出振付家のMIKIKO氏が率いるダンスカンパニー。
 
この2つの組織のコラボレーションによるダンスインスタレーション「MOSAIC」は2014年より公開されており、現在ではDVDとして購入・鑑賞することができます。
ELEVENPLAY公式ストア
 

 
 
 

新作公演「border」について

今回のダンス公演「border」は観客が、日本発のパーソナルモビリティ「WHILL」に乗ってインスタレーションの一部となり“体感する”ダンス公演。
 
観客は独自開発のカメラを装着したヘッドマウントディスプレイ、ヘッドフォンを装着し「WHILL」に乗り込むと、自動操縦されるまま、“ダンサー”と“立方体のオブジェ”が行き交うインスタレーション空間を移動しながら鑑賞します。
 
ヘッドマウントディスプレイで覆われた視界には、カメラを通して見える現実の景色と混在してバーチャルの映像が投影されていきます。
 

※ 公演開始前に公開されたteaser 

 
 

現実とバーチャルが融けていく体験

圧倒的なパフォーマンスを見せるダンサー、そして空間に均等に配置された“白い直方体”にもモーターが組み込まれており空間を移動します。
そして、高レベルの光と音響で包まれる空間を、WHILLに乗って動き回る観客。その“立ち位置”と“視線・頭の角度”はセンサーにてトラッキングされており、その視界に合わせてリアルタイムにダンサーや床、壁、立方体へバーチャル映像が合成されていきます。
(※技術的な考察は後述)
 
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時にそれは現実のままに、時にはダンサーすらもバーチャルとなり、白い直方体だったものは様々な形に姿を変えていく。
現実とバーチャルの境を見失う中、ダンサーが観客に触れることで「触感」によって現実に引き戻さる。
現実とバーチャルを行き交う中、より一層現実とバーチャルが融け合っていく感覚に陥ります。
 
 
 

“ダンス”インスタレーションであること

「Rhizomatiks Research」による技術に目を奪われますが、表現の核となり実現しているのは、紛れもなくダンサー。
前述の通り、WHILLに乗る観客と直方体が目まぐるしく移動する舞台。
立ち位置を一つ間違うだけで衝突しかねない距離で、パフォーマンスを繰り広げていきます。
ダンサーの高い技量、そしてエンジニアとの信頼がとても高いレベルで構築されていると感じました。
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“体験するborder” と “鑑賞するborder”

今回の「border」は、WHILLに乗る“体験チケット”の他、2階観覧席からの“鑑賞チケット”も当日発売されていました。鑑賞客に向け、奥の壁には体験者視点の映像が流れると共に、ダンス構成も体験者だけでなく鑑賞者に向けても考えられた構成となっていました。
 
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また、体験者は自身がWHILLに乗車し鑑賞した後、鑑賞席にて第三者視点にて鑑賞する構成となっています。
まさに今回のborderは“体験”と“鑑賞”、両側面で感じることのできる素晴らしいインスタレーションとなっていました。
 
 
 

技術視点でみた「border」

テクノロジーメディアでもあるBAKERYとしては、やはり欠かすことのできない技術目線での情報も整理します。