Midemデジタルエディション内にて開催される、“音楽 × テクノロジー”をテーマにしたスタートアップ・コンペティション「Midemlab」の2020年のファイナリストが発表された。
今年は、チリやラトビア、インド他 49 カ国 226 社の応募の中から選ばれたスタートアップ20社が選出されている。
- 「音楽制作&教育」部門
- 「ミュージック・ディスカバリー/ディストリビューション」部門
- 「マーケティング/データ/分析」部門
- 「音楽ライブ体験」部門
の4部門に分かれ、音楽・テクノロジー領域のプロフェッショナルからなる審査員にピッチを行っていく。
Midemlab 2020 finalists revealed!
https://www.midem.com/en-gb/innovation/midemlab.html
今年のピッチと授賞式はMidem会期中(2020年6月2-5日)にオンライン開催されるため、誰でも参加・視聴が可能であり、よりアクセスしやすくグローバルからの注目が集まると思われる。
本記事では、世界の音楽ビジネスの未来を担う有望スタートアップの登場が期待されるファイナリスト達を紹介していく。
Midemlab とは?
「Midemlab」はエンターテック、中でも“音楽 x テクノロジー”をテーマにしたスタートアップ向けのピッチイベントだ。
毎年カンヌで開催される音楽ビジネスカンファレンス「Midem」内にて行われている。今年で開催は12回目。今年はオンラインにて開催される。
過去の出場者には、SoundCloud、Kickstarter、The Echo Nest(2014年にSpotifyが買収)、Next Big Sound(2015年にPandoraが買収)といった、今ではキープレイヤーとなった音楽テック企業がMidemlabで露出、出資、事業開発の機会を得てきた。
2018年のファイナリストであるAsaiiは、Midemlabに出場した4ヶ月後にAppleに買収されたことでも話題となった。
2020年のファイナリスト 4部門20社 を紹介
それでは、各部門と選出されたスタートアップを紹介していこう。
今年から新設された「音楽ライブ体験」カテゴリ(Live Music Experience)をはじめ、音楽ビジネスの課題を解決するテクノロジーから、音楽のデジタル化を更に促進するイノベーションまで幅広いスタートアップが選出されている。
「音楽制作&教育」部門
boomy(アメリカ)
AIを活用して誰でも簡単に楽曲を制作し、主要ストリーミングサービスに配信し収益を得られるプラットフォーム
https://boomy.com
MuseMind(フランス)
ゲームや映像向けに合う音楽を自動生成するソフト。楽曲制作者が楽曲を登録すると何千ものバリエーションを自動生成され、ゲーム/映像制作者がその中から合うものを探せる。
http://musemind-music.com/home-en/
Paradiddle(アメリカ)
VR空間でドラムを練習、演奏できるアプリ。自分の好みのドラムキットを組むこともでき、自分の演奏をコミュニティにアップロードすると他のユーザーが参考に練習できる。
http://paradiddleapp.com
Riyaz(インド)
インドの伝統音楽の歌唱を学べるアプリ。様々なスタイルのインド音楽、歌唱の練習課題が1000以上配信されている。
http://riyazapp.com
Solfeg.io(ラトビア)
音楽教育、学習サービス。イマジン・ドラゴンズ、アリアナ・グランデ他、有名アーティストの楽曲から音楽を学べる。
音楽学校向け、生徒向け両方のモードがあり、先生が生徒の進捗管理をしたり、自分のカリキュラムに合わせて内容をカスタマイズできる。
https://solfeg.io
「ミュージック・ディスカバリー/ディストリビューション」部門
Fantasy Music Manager(ノルウェー)
自らがマネージャーとなり、アプリから成功を信じられる仮想アーティストと契約、フェスに出演させライブの評価からポイントを貯めるゲーム。
https://www.fantasymusicmanager.com
Sua Musica(ブラジル)
ブラジル発のインディペンデントアーティスト向け音楽ストリーミング/ダウンロードプラットフォーム。無料でストリーミングとダウンロードができる。
https://www.suamusica.com.br
Super Hi-Fi(アメリカ)
AIを活用して音源と音源が自然に繋がったり重なったりするよう、適切な位置、音量、エフェクトを検出、出力するソフトウェア。音楽サービス内の広告や、音楽とブランドのコラボレーションに最適。
http://www.superhifi.com
Weav Music(US)
Googleマップの生みの親が創業した、楽曲のBPMを身体の動きや周りの環境に合わせて変化するソフトウェア。応用したアプリでランニング速度に合わせて既存の曲のBPMを変えるものがある。
https://www.weav.io
Yneuro(フランス)
脳神経テクノロジーを用いた人工知能を活用して、脳活動に基づくインタラクティブなコンテンツ流通システムを提供するスタートアップ
https://www.yneuro.com
「マーケティング/データ/分析」部門
Audoo(UK)
楽曲の利用をテクノロジーで正確に検出、把握し、より早く正確に権利者へ支払うためのテクノロジーを提供。レストラン、店舗、ジム、バーなどで再生される曲を検出する事が可能に。
https://audoo.com
BuzzMyMedia(UK)
YouTubeでのチャンネル/動画運用の効果を最大化するための統合サービスを提供。
タグ/タイトル/カード/サムネイルなどの効果最大化や検索最適化を提供する。
http://www.buzzmyvideos.com/buzzmymedia/
Fanear Labs(チリ)
ライブやフェスティバル等のイベントによる経済/社会/文化インパクトをTRIMPEV法に基づき計測したデータベースを運営。権利団体や自治体などにリアルタイムでそうしたインパクトをモニタリングするソフトウェアも提供
http://fanearlabs.com
Soundeon(エストニア)
楽曲の権利を売買するプラットフォーム。フィンテックを活用し楽曲の権利の価値を適正に算出し、売買が公正に行われるようにする。また売買した楽曲のロイヤリティの受け取りのインフラも提供。
https://soundeon.com/en/
Trash(アメリカ)
複数の動画から”Cinematic Science”を活用して短尺動画を自動編集するアプリ。音楽やフィルターを活用し、複数の動画プラットフォームに投稿できる。
https://trash.app
「音楽ライブ体験」部門
Eyellusion(アメリカ)
ホログラム・ライブ企業。フランク・ザッパ、ロニー・ジェイムズ・ディオ他のホログラム・ライブの企画、制作、ツアービジネスを行う。
http://eyellusionlive.com
Jamset(フランス)
空きスペースを活用したいホストが、旅行や出張先で楽器の演奏を楽しむためのシェア・スタジオを提供するサービス。設置している楽器とアプリを接続し、合奏したりレッスンを受けられる。
https://www.jamset.net
RQST(ノルウェー)
Spotifyを連携し、友達や家族と共同でプレイリストを編集したり、追加して欲しい楽曲を投票で決められるアプリ。DJ、ライブ会場などが、オーディエンスのリクエストを受け付けたり、次にかけて欲しい曲を投票で決めるなどの活用もできる。
https://www.rqstmusic.com
Snaptivity(UK)
AIとロボティック・カメラを組み合わせて、スポーツの試合等での一番ドラマティックな瞬間を自動で撮影できるソフトウェア。既にサッカーやクリケットの試合で活用されている。
https://snaptivityapp.com
UPTUNE(カナダ)
ライブ会場でのサウンドチェックを最適化するためのアプリ。楽器同士の音量バランスやEQの最適化、ハウリング防止を可能にする。セットリストやライブスケジュール管理も可能。
https://upscale-technology.com
今年はオンラインでの開催で誰でも無料で参加可能、登録は2020年5月25日より開始予定
前述の通り、ピッチと授賞式はMidem会期中(2020年6月2-5日)にオンライン開催に、誰でも無料で参加・試聴することできる。参加登録は2020年5月25日より開始予定だ。
オンライン開催によってよりアクセスしやすくなった今年のMidemlab。ぜひチェックして、音楽・テクノロジーを活用した新しいビジネススタートアップ・アイディアから刺激を受けよう。
■ Midem Digital Edition 公式ページ
https://www.midem.com/en-gb/midem-digital-edition.html
■ Facebook公式ページ「Midem Japan」(日本語)
https://www.facebook.com/midemjapan/
音楽・エンターテインメントとテクノロジーに焦点を当て 「音楽・エンターテインメントが持つ魅力・パワーを高め、伝える体験(演出や技術、それらを活用したマーケティング施策など)」、 「アーティストやクリエイター、音楽業界がよりエンパワーメントされるような仕組み(エコシステムや新しいビジネスの在り方)」 を発信・創造していくことに取り組んでいるクリエイティブ・テクノロジスト/ライター。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。その他、LIVE演出やVJの技術開発にも取り組んでいる。