世界有数のブロックチェーンテック企業 Bitfury、音楽・エンタメ部門の設立を発表 ー 新たなプラットフォーム構築へ
カテゴリ:エンターテック
2019-01-17

世界でも有数のブロックチェーンテック企業として、ハードウェア/ソフトウェア双方に包括的なサービスを提供する Bitfury Group(ビットフューリー、以下「Bitfury」)は、2019年1月16日、アーティストや音楽業界の利害関係者が直面する課題に対処するためのブロックチェーン・ソリューションをデザインするミュージック・エンターテイメント部門「Bitfury Surround」(ビットフューリー・サラウンド)を発表した。

 

また、この部門の最初の取り組みとして、ブロックチェーンにより保護されるオープンソースの音楽プラットフォーム「Surround」を構築することも発表している。

Bitfurysurround
Bitfury Surround オフィシャルページより

 

ブロックチェーンテック企業「Bitfury」とは

「Bitfury」は世界でも有数のブロックチェーンテクノロジー企業であり、ブロックチェーンに関する「ハードウェア」と「ソフトウェア」双方を提供している。

ハードウェア面ではマイニング用チップ「BITFURY CLARKE」の開発・提供する一方で、ソフトウェア面ではプライベートブロックチェーンを構築するためのフレームワーク「Exonum」や、ブロックチェーン調査のためのツール「CRYSTAL」など、まさにブロックチェーンを“包括的に”対象としている企業だ。

 

ミュージック・エンターテイメント部門「Bitfury Surround」が提供するものとは

そんな Bitfury が今回、ミュージック・エンターテイメント部門「Bitfury Surround」の設立、そして最初の取り組みとして、ブロックチェーンにより保護されるオープンソースの音楽プラットフォーム「Surround」の構築 を発表した。

Bitfurysurround
Bitfuryのリリース資料より

 

Bitfuryは、音楽・エンタメ業界が直面している課題として「クリエイティブ産業とプラットフォーム・エコノミー間のバリューギャップ」や「法的拘束力のあるデジタル著作権の登録」、「透明性に欠ける契約の管理」などを挙げ、それを解決していくソリューションを構築するとしている。

「Surround」は、同社のExonum(オープンソース・ブロックチェーン・プラットフォーム)上に構築され、「安全な著作権の譲渡」、「合理化された接続」、「精度・透明性の高い監視・管理システム」を提供する。

また、オープンソースでありAPIなども提供されることから、この「Surround」を利用して第三者が新たな事業を立ち上げることも可能になるようだ。

未だ、具体的な内容は明らかにされていないが、提供・維持するものとして以下の要素が挙げられている。

 

    • サービス水準合意(SLA)能力
    • 相互運用性およびオーディタビリティ(*1)
    • ブロックチェーン内の安全な資産移動
    • ペイメント・レイル(*2)
    • 変更不可能な信頼できるデータ
    • タイムスタンプの固着および分散化
    • オープンエコノミーのためのツール(一元化されたAPI、スマート・コントラクトの管理、ピアツーピア構造)
    • 人工知能および機械学習
    • 資産の共同所有

(*1) 監査可能性
(*2) 支払・決済の仕組み

 

Bitfury Surround事業部門は欧州を拠点とし、最初の導入実績はアムステルダムおよびベルリンとなる見通し。さらに、ロサンジェルス、東京、ソウル、モスクワでも展開が予定されている。

 

Bitfuryの音楽部門CEOには、ミュージック・エンターテイメント業界で20年の実績を有するStefan Schulz(ステファン・シュルツ)氏が就任するとして、同氏のコメントも公開されている。

 

Bitfury 音楽部門CEO Stefan Schulz氏コメント

「音楽は、おそらく消費者行動における感情、グローバリゼーション、ボラティリティによって動く今日の世界で最もパワフルな通貨であるといえるでしょう。それにも関わらず音楽市場全体の価値は1990年代後半よりも減少しています。ブロックチェーン技術は、AIとともにこの大きな流れを逆転させ、業界全体の飛躍的かつ持続可能な成長の時代を可能にするでしょう。」

「Bitfury Surroundのエコシステムは透明性と信頼性を強化するとともに、事務的コストを削減し、ブロックチェーン上でのアーティストから消費者へのコンテンツの透明性のあるフローを確保します。それにより向上した効率性は全ての市場参加者が公平にもたらされます。Bitfuryのような、より良い世界に向けて全力を尽くす真のマーケットリーダーだけが、オープンソースかつコオペラティブなプラットフォームを提供し、非常に意義のある市場に参入する大胆さを有しています。」

「このプラットフォームにより個人のステークホルダーの権限強化し、無限の新たなビジネスモデルと連携のための市場開放、そして知的財産権の保護向上に繋がるでしょう。また、最も重要なことは、アーティストやステークホルダーに公平に報酬を支払う持続可能な環境を生み出すでしょう。」

 

どのような形でプラットフォームが構築・展開されていくか、そして普及していくのか注目

ブロックチェーンの活用を考えるプレーヤーというと、JAAKやdot Blockchain Media、musicoin、blokurなど、これまでも数多く登場してきている。

そこにブロックチェーンテック企業の大手である Bitfury がどのようなプラットフォームを提供していくのか。既存のプレーヤーとはどのような点で異なるものとなるのか。

今後の発表・展開に注目していきたい。

 

関連リンク:
Bitfury Surround
https://surround.com/

2019-01-17 | Posted in エンターテック | by Yuki Abe

Yuki Abe

音楽・エンターテインメントとテクノロジーに焦点を当て 「音楽・エンターテインメントが持つ魅力・パワーを高め、伝える体験(演出や技術、それらを活用したマーケティング施策など)」、 「アーティストやクリエイター、音楽業界がよりエンパワーメントされるような仕組み(エコシステムや新しいビジネスの在り方)」 を発信・創造していくことに取り組んでいるクリエイティブ・テクノロジスト/ライター。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。その他、LIVE演出やVJの技術開発にも取り組んでいる。