【MUTEK.JP 2018 レポート2】BAKERYがMUTEK.JP 2018で注目したアーティスト7選
カテゴリ:イベント/LIVE
2018-12-30

2018年のBAKERYを締めくくる「MUTEK.JP 2018」レポート。2本目のこのレポートでは、日本科学未来館での夜のライブパフォーマンスの数々の中から、7アーティストをピックアップして紹介していく。

音楽と映像を組み合わせ新しい体験を生んだ、2019年もウォッチしていきたいアーティスト達。ぜひチェックを。

MUTEK.JP 2018 EVENING

 

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Synichi Yamamoto + Seiichi Sega & Intercity-Express

日本科学未来館で開催されるMUTEK.JPならではのコンテンツに、“ドームシアター”でのパフォーマンスがある。2018年もいくつもの作品が披露されたが、やはり取り上げたいのが、Synichi Yamamoto + Seiichi Sega & Intercity-Expressによるオーディオビジュアル作品「Noesis」。

「MUTEK Montréal」でも披露されたこの作品が「MUTEK.JP 2018」でも披露された。

Noesis 2

 

Noesis 3

 

全7曲の構成で、ドームシアターで3Dグラスをかけて鑑賞する“3Dドーム映像”として、溶けていく地球や境界、包みこむようなノイズなど視界全体を覆うように展開されていく。3Dの奥行きによって心地よい「没入感」も感じることができる作品であった。

さらに「MUTEK.JP 2018」ではドームシアターでのパフォーマンスに加えて、日本科学未来館を象徴する地球ディスプレイ「GeoCosmos」を使ったパフォーマンスも披露された。

noesis_geocosmos

 

Alexandre Burton & Julien Roy

オーディオビジュアル作品の楽しみに「音と映像のシンクロ気持ちよさ」もあるが、Alexandre Burton & Julien Roy による「Three Pieces With Titles」はその極みの一つかもしれない。

AlexandreBurton

カメラ、シンセサイザー、アコースティック楽器、コンピュータそしてプロジェクターで作られたセット。そこに映された映像が音を作り、またその音が映像に作用する。

目の前で生み出されていく映像と音、それらが切り離せないものとしてシンクロしながら楽曲が作られていく感覚は、快感ですらある。

「MUTEK Montréal 2017」でのパフォーマンスがVimeoで公開されている。当日観れなかった方はぜひこちらで確認していただきたい。

※ MUTEK Montréal 2017 でのパフォーマンス映像

trois pièces avec des titres – MUTEK Montréal 2017 from artificiel on Vimeo.

 

Atsushi Tadokoro

目の前で生み出されていく映像・音といえば「ライブコーディング」もそうだろう。

MUTEK.JPのいくつかあるパフォーマンス会場の中でも、7Fイノベーションホールでは「芸術・サイエンス・音楽・テクノロジーの交差に強く根ざしたオーディオ・ヴィジュアル表現を探究する著名・気鋭のアーティストたちのためのラボラトリー『Play』」と題してパフォーマンスが行われていた。

その会場がぎゅうぎゅうの満員となり、最も盛り上がりを見せたのが Atsushi Tadokoro 氏によるライブコーティングパフォーマンスだろう。

AtsushiTadokoro

 

スクリーンに投影される、プログラムでジェネレートされた映像。そして右半分にはリアルタイムでプログラムが入力されていき、それによって音楽が生成されていく。

コマンドが適用され、展開が進むごとに歓声が上がる会場。最高にのれる音楽・映像がライブで作成されていく、圧巻のパフォーマンスとなった。

 

Daito Manabe & Satoshi Horii (Rhizomatiks Research)

Daito Manabe 氏、Satoshi Horii 氏によるパフォーマンス「Phaenomena」もピックアップしたい。最も大きなメインステージ全体に広がるスクリーンに映し出される高解像・高密度な表現は圧巻だった。

冒頭、バーチャルな空間を回り込むように動くカメラが動いていく。インダストリアルなアタック音が重なっていくのに対応して、空中に浮かぶ文字、飛び出す床や壁、歪むSphere、現れては消えるオブジェクトがどんどんと増していく。

DaitoManabe SatoshiHorii 1

 

また場面が転換すると、キューブが舞いながら複雑に形を変えていく空間へ。次第にその数を増やし、終盤にはスクリーン全体を覆い尽くす、圧倒的な物量の映像に観客は飲み込まれていった。

DaitoManabe SatoshiHorii 2

 

※ Digilogueでのパフォーマンス映像

 

evala

圧倒的な音の体験空間を生み出したのは、サウンドクリエイター evala 氏。地球ディスプレイ「GeoCosmos」を頭上にしたシンボルゾーン会場が舞台だ。

Evala

 

会場の4方に配置されたスピーカーから、他とはまた一段違ったレベルの解像度の音が発せられ、空間を回っていく。時には静かに、また時には爆音とも言える音が発せられ、持っていたレッドブルの缶が震え、服や身につけているものが音に共振する。

Evala 2

閃光のように瞬く音像、星の誕生だろうか。生まれたての、海だけの世界をも思わせる音の空間。大きなスケールの音の空間にひたすら包まれる時間となった。

 

NONOTAK

イラストレーター Noemi Schipfer 氏と建築家でミュージシャン Takumi Nakamoto 氏によるアーティストユニット NONOTAK のパフォーマンスは、今回も「白」と「黒」、そして「幾何学」というミニマルなはずの要素が構成され、実に音楽的だった。

NONOTAK 1

二つのテーブルと、背景にスクリーンがあるシンプルなステージ。そこに二人が立ちパフォーマンスが始まる。

ストロボが閃光し、白黒のモノトーンのスクエアがリズムとシンクロして気持ちよく動き、視覚的に音楽を感じさせてくれる。彼らを照らすスポットはなく、背景に輝く「白」の上にシルエットが浮かぶ。これが実に格好いい。

 

NONOTAK 2

洗練された最小限の要素で、視覚的にも聴覚的にも“音楽”を体感させてくれるそんなステージであった。

 

Cornelius

「MUTEK.JP 2018」ではエクスペリメンタルな音楽が多い中、ロックバンドとして「音」と「映像」、「光」を使ったハイレベルなショーを見せてくれたのが Cornelius であった。

Cornelius 1

 

Corneliusは2018年、「MELLOW WAVES TOUR」を行ってきており、この日のパフォーマンスもそれを軸としたものだ。4人の音がそれぞれ空間に配置されているかのような楽曲と相まって、シンクロしていくユーモアにも溢れた映像、そして光。そのレベルの高さは、これまで Cornelius が積み上げ磨いてきたものだと感じる。

“MUTEKだから”というパフォーマンスではないにも関わらず、他の実験的なパフォーマンスに引けを取らない圧巻のパフォーマンスだった。

Cornelius 2

またこの日は、テレビのニュース番組やCMがコラージュ・サンプリングされて展開される楽曲「Another View Point」も披露され大いに会場が湧いた。つながりのないはずのそれぞれの映像が展開していくにつれて、ストーリーがあるかのように感じてしまう。ユーモアがありながらもどこか風刺の効いた内容で、思わず笑ってしまった。

 

幅広く、デジタルを活用した音楽表現を体験できる3日間

今回ピックアップした7アーティストの他にも、多くのアーティストが同時並行でパフォーマンスを繰り広げた「MUTEK.JP 2018」。普段のロックフェスティバルでは体験出来ない音楽に触れることのできる、数少ない場である。

来年2019年の開催はまだ発表されていないが、どのようなアーティストが登場してくるのか。そしてどんな新しい体験を与えてくれるのかが楽しみでならない。

 

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2018-12-30 | Posted in イベント/LIVE | by Yuki Abe
Yuki Abe

Yuki Abe

マーケティングコミュニティプラットフォーム「cocosqure」の開発 及び 音楽・エンターテイメント音楽とテクノロジーを掛け合わせたプロダクト/サービスの情報発信および開発を行っている“エンターテック・テクノロジスト/ソフトウェアエンジニア”。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。