「一般社団法人1964 TOKYO VR」設立、第一弾として1964年の渋谷をVRで再現していくプロジェクトがスタート
2017-10-26

VRは場所だけじゃなく、時間も超える力を持つ。そんなプロジェクトがスタートしました。

過去の写真から「記憶の中の街並み」を3DVRで再現するプロジェクトを推進する「一般社団法人1964 TOKYO VR」が設立され、第1弾プロジェクトとして、渋谷を拠点にした「1964 SHIBUYA VRプロジェクト」のスタートが発表されました。

1964 TOKYO VR
1964 TOKYO VR(https://1964tokyo-vr.org

 

「一般社団法人1964 TOKYO VR」は、当時の写真を現代の3D技術を使いVR化することで「記憶の中の街並み」を再現していくプロジェクトを推進するために設立されました。個人や法人から過去の写真・画像を広く収集し、現代の3D技術によりそれらをVR(バーチャルリアリティ)化・公開し、都市の街並みの変遷とその素晴らしさを実際に体験出来るように活動を行っていくとのことです。

発起人は代表理事の土屋敏男(日本テレビ)と齋藤精一(ライゾマティクス)、永田大輔(DISTANT DRUMS)の3名が理事となっています。


1964 TOKYO VR イメージムービー

またこの法人の設立と同時に第1弾プロジェクトとして「1964 SHIBUYA VR」プロジェクトが発表されました。
東京オリンピックが開催された1964年当時の渋谷界隈の街並みをVRで再現していくプロジェクトです。2020年に向けてますます世界から注目されている「渋谷」。その渋谷という街が1964年の東京オリンピック当時どのような風景だったのか、、1964年当時の写真を収集し、渋谷の街並みをVR化していくとのこと。

 

既に当時の貴重な写真を、東京急行電鉄株式会社、渋谷区、宮益坂町会、読売新聞から提供して頂き、オートデスク株式会社からの技術協力によりプロジェクトをスタートしています。

 

また、バンタンゲームアカデミー、デジタルハリウッド大学の教員・学生も産学協同プロジェクトとして制作協力として参加すると共に、今後は広く個人・企業の皆様へ写真提供や技術提供を募るとのこと。(個人・団体の賛助会員の募集を開始しており、また、写真の募集も広く開始。提供者の名前がウェブサイトクレジットコーナーにて公開されるとのこと。)

1964 SHIBUYA VR

3Dモデリングイメージ
1964年当時渋谷エリアで撮られた複数の写真をもとに3Dモデリングのトライアルをしている写真

 

今後も未来に向かって歩み続ける東京の「街並み」を未来に残していけるよう、継続的なプロジェクトとして活動していくとのこと。記憶に残る街並みを再現し、またその当時を体験していない人に向けた“新たな体験”として繋いでいく、実現に向けてあらゆる人々の力を巻き込んだプロジェクトになりそうです。

 

– Comment -VRの持つ可能性として「行けない場所に行くことができる/見れない景色を体験できる」というものがありますが、それは“リアル/デジタルの境界”や“距離的なもの”だけでなく、このプロジェクトのような“時間を超える(遡る)”という捉え方もあります。

今回のプロジェクトではその考え方に加えて「写真から3Dモデルを生成する」という新しい技術と、さまざまな団体や人の力が集まることによるパワーを組み合わせて、今では行くことの出来ない(写真にしか残っていない)過去の場所を体験可能なものとして再構築する面白い取り組みとなっています。

※ ちなみにこの「写真から3Dモデルを生成する」という技術は、MEDIA AMBITION TOKYO 2017の「Architecture x Technology Workshop」(リンク)で行われたものと同一のものだと思われます。(※)

3Dカメラがなくても、一般の人が撮影できる“写真”を集めることで、巨大な街をVR空間に構築できる。様々なキャンペーンに使えそうな要素が多く含まれているニュースではないでしょうか。

 

※ Autodesk Remakeを使った、「写真からの3Dモデル生成」

 

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

2017-10-26 | Posted in VR/AR, エンターテック | by Yuki Abe

Yuki Abe

音楽・エンターテインメントとテクノロジーに焦点を当て 「音楽・エンターテインメントが持つ魅力・パワーを高め、伝える体験(演出や技術、それらを活用したマーケティング施策など)」、 「アーティストやクリエイター、音楽業界がよりエンパワーメントされるような仕組み(エコシステムや新しいビジネスの在り方)」 を発信・創造していくことに取り組んでいるクリエイティブ・テクノロジスト/ライター。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。その他、LIVE演出やVJの技術開発にも取り組んでいる。