【SXSW2017レポート】Interactive Innovation Awards – Finalist Showcaseレポ –
2017-03-23

BAKERYのSXSW2017レポート第一弾は Interactive Innovation Awardsから。

 

今年はSTUDENT INNOVATION部門にて、BionicMが日本人初の受賞を飾り
話題となった Interactive Innovation Awards。
BAKERYは SXSW2017の会期中に開催された、Finalist達によるShowcaseに突撃した。

イノベーションが生み出す最先端の企業・プロジェクトに触れられたこのShowcaseから、
“エンターテインメントでの活用が気になるプロダクト”をピックアップしてご紹介する。

 

IA Innovation Awards Finalist Showcase by Chris Van Loan II 640x360
それぞれのブースに、最先端のアイディアを求めたVisitor達が集まり、フロアは熱気にあふれていた。画像は公式ページより。

 

「OSSIC X」

BAKERYでも取り上げ、もう既に注目されているVR時代のヘッドフォン「OSSIC X」もファイナリストに選出され、ブース出展。
ブースでは、実際にOSSIC X × HTC Viveを使ったVRコンテンツを無料で体験することができ、筆者も実際に体験することができた。コンテンツの内容はとてもシンプルで、“音を発するオブジェクト”を掴み、頭の周りに回すことで様々な角度から音を体感できるというもの。

たださすがはVR時代のヘッドフォンであるOSSIC X、前方後方・上下左右から聞こえてくる音は実に自然に聴こえ、シンプルなコンテンツながらも夢中で楽しむことができた。
HTC Viveは現時点でとても優れたプロダクトではあるものの未だ視野角の狭い点がこれまで気になっていたが、OSSICによる音のVRが追加されることで没入感が大きく増したと感じた。(実のところ、このほか様々なところでVRコンテンツに触れたが、このOSSIC Xのブースで体感したのが一番没入感があったのでは、と感じている)
OSSIC

公式ページ : https://www.ossic.com/

 

「HOLOPLOT」

インパクトが大きかったのは、このShowcase後の発表で2017年のMUSIC & AUDIO INNOVATION部門 アワードも受賞した「HOLOPLOT」のブース。
「HOLOPLOT」は音のビームを自在にコントロールする“WAVE FIELD GENERATOR”だ。

たくさんのスピーカーコーンが並ぶGENERATORからは音がビーム状に発することができ、

  • 聴き手の立ち位置に関わらず、均質な音量で最善な音を届ける
  • 同じ会場でもエリアごとに異なる音を伝える
  • マイクのフィードバックを最低限に抑える
  • これまでにないレベルでVIRTUAL 3Dオーディオを届ける

といった、これまでに無い音楽体験を届けることができるプロダクトだ。

ブースでは実際にスピーカーが配置され、その音を体験することができた。
個人向けのプロダクトでは無いものの、新次元の音楽体験を実現できるこのプロダクトが活用されれば、
より外へ“音楽を聴き、体験しに行く”価値が増していくのでは無いか、とワクワクする。

HOLOPLOT

HOLOPLOT2

公式ページ : http://www.holoplot.com/

 

「Vochlea」

音楽制作をもっと万人に身近なものにするプロジェクト「Vochlea」は声を楽器の音に変換するプロダクト。

誰しも頭の中では作曲家であるにも関わらず、それが世に出ないのは “演奏が難しいから”。
そんな課題に対して「Vochlea」はマイクに向かって声を送るだけでで、楽器として気軽にレコーディングできるというもの。

残念ながら写真撮影ができていなかったため、ムービーでご紹介。

音楽の共有が気軽にできるように変わってきた次は、「誰しもが気軽に、高品質な音楽を生み出せるようになる」動きも出てきている。
高性能なDAWや各種ボーカロイドの普及、マスタリングをWEBサービス越しにAIへ依頼できる「<a href=”https://www.landr.com/ja” target=”_blank”>LANDR</a>」なども含め、その動きについてもウォッチしていきたい。

公式ページ : http://www.vochlea.co.uk/

 

「DuoSkin」

SCIFI NO LONGER部門 を受賞した「DuoSkin」は、直接肌に貼り付けて“肌をインタフェースにする”というプロダクト。
MIT Media LabとMicrosoft Researchのコラボによるものだ。

注目したのはそのアイディアに加えて、“デザイン性”が極めて高いことだ。様々なデザインにカスタマイズすることができ、その美しいタトゥーがそのままインタフェースとなる。

音楽・エンターテインメントへの活用を考えた時、美麗なタトゥーとして“魅せ”つつ、
そのデザインだからこそできるコントロールをダンスパフォーマンスと合わせることで、
これまでに無い表現が可能となるのではないだろうかと想像してしまう。

是非エンターテインメント領域での活用を検討してみたいプロダクトだ。

IMG 0683

公式ページ : http://duoskin.media.mit.edu/

 

「The Music Room」

楽器を演奏する人なら誰しも、「現実の部屋の制約を気にせず、思うままに楽器を演奏したい」と思ったことがあるはず。
特にドラマーならなおさらだろう。

それをシンプルにVRで解決するのが「The Music Room」だ。
VRのコントローラーを使い、バーチャル空間でドラムを思うまま叩くことができ、
さらに面白いのが、クロマキーを使い実際にバーチャル空間に自分をはめ込んだ映像を作れることだ。

演者としての予てからの欲求を満たしてくれるプロダクトとしても面白いとともに、
現時点での“現実にある楽器を、まるで現実のように演奏できる”という段階から、
“現実空間では実現できないようなバーチャルならではの楽器を作り、それでしかできない演奏をする”という
段階に到達してくれるのではないか、と期待できるプロダクトだと感じた。

 

The_Music_Room

公式ページ : http://musicroomvr.com/

 

 

「The Sensel Morph」

パッと見はただのMIDIコントローラー?といったこの「The Sensel Morph」。
実はパッド部分が取り外し可能となっており、用途(音楽制作だけでなくグラフィックや様々な制作活動)に応じてパッドを交換することで、
様々なコントローラーに姿を変えることができるプロダクトだ。

音楽制作をしていると馬鹿にならないのが、コントローラーのコスト(購入だけじゃなく運搬も)だ。
それを一台で済ますことができれば、さらにはパッドを自身でカスタマイズできれば、と夢が広がるプロダクトであった。
Sensel

公式ページ : https://www.kickstarter.com/projects/1152958674/the-sensel-morph-interaction-evolved

 

「Through The Dark」

Showcaseでは出会うことができなかったのだが、是非紹介したいのがこの「Through The Dark」。
WEB上で体験できるインタラクティブコンテンツだ。
開始すると音楽とともにアニメーションで物語が進んでいくが、
ユーザーはマウスをスクロールすることでアニメーションを操作することができ、物語の2つの側面を自身の手で垣間見ることができるというコンテンツだ。

大きく新しいアイディア、というものではないものの、音楽とアニメーション そしてユーザーのインタラクションを表現に取り込んだ
素敵な事例として是非紹介したい。

まだの方は是非体験を。

THROUGH THE DARKNESS

公式ページから体験することができる。

公式ページ : https://throughthedark.withgoogle.com/

 

 

イノベーションの熱を感じ、来場者と高め合うShowcase

イノベーションの未来をかいま見れるAwardのShowcaseということで、フロアには多くの方が来場しており、
また各ブースではただ紹介するのではなく、来場者と意見を交換しながら新たな改善点・用途の模索が、非常に活発に行われていた。

会場を包む熱気から、これこそ「完成されたものよりも、未完成でも新しいモノ・アイディアを」というSXSWのコンセプトを体験することができたShowcaseであった。

なお今回、BAKERYの視点から“エンターテインメントでの活用が気になるプロダクト”をご紹介したが、
その他にも様々な企業・プロダクトがノミネートしている。

是非SXSWの公式ページをご覧になり、新しいアイディアの種を探して欲しい。

 

なお、BAKERYでは当記事以降、Trade ShowやSXSW Artsについての記事を投稿予定だ。
そちらも是非ご覧いただければ幸いだ。

 

ソース:

 

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

2017-03-23 | Posted in イベント/LIVE, エンターテック | by Yuki Abe

Yuki Abe

音楽・エンターテインメントとテクノロジーに焦点を当て 「音楽・エンターテインメントが持つ魅力・パワーを高め、伝える体験(演出や技術、それらを活用したマーケティング施策など)」、 「アーティストやクリエイター、音楽業界がよりエンパワーメントされるような仕組み(エコシステムや新しいビジネスの在り方)」 を発信・創造していくことに取り組んでいるクリエイティブ・テクノロジスト/ライター。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。その他、LIVE演出やVJの技術開発にも取り組んでいる。