映像と音楽の祭典『VRDG+H #2』 イベントレポート
カテゴリ:VR/AR, イベント/LIVE
2016-05-11

4月30日、世界初の常設ホログラフィック劇場「DMM VR THEATER」にて開催された最高峰テクノロジーによる映像と音楽の祭典『VRDG+H #2』。
気鋭のアーティスト・パフォーマーによって、新たな表現の可能性が切り拓かれたこのイベントについてレポートする。

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DMM VR THEATERとは

横浜駅から徒歩5分に位置する、世界初の常設ホログラフィック劇場。
(公式サイトはこちら
音響や映像などの世界最高峰技術が詰め込まれたこの劇場の中でも特に特徴となるのは「ペッパーズゴースト型ホログラム投影装置」。
あたかも本当に存在しているかのようなホログラムをステージ上に投影することができる施設になっている。

これに加えて、背面のスクリーンにも映像が投影可能、さらにパフォーマーが実際に立つことのできるスペースの確保、9.1chサラウンドシステムの完備といった、まさに「ライブパフォーマンス × バーチャル」を実現する専用施設である。

DMMVRTheater
公式サイトより
 
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高精細なLEDの映像が斜めになっているスクリーンに映り、それを客席から見ることで、宙に投影されたホログラムを見ることができる
 
 
 

スタートを飾る、鮮烈なドラムとVRのパフォーマンス Jimanica × Kezzardrix

『VRDG+H #2』はドラマーJimanicaと、Kezzardrixによるコラボーレションからスタート。

今回のイベントで唯一、楽器の生演奏とホログラムのコラボレーションとなったこのパフォーマンス。
Jimanicaが刻む生のドラムのビートとシンクロし、ステージ上に様々なブロックやオブジェクトが降り注ぐと共に、キャラクターのダンスなども投影されていく。
 
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様々なブロックやオブジェクトがステージに降り注ぐ
 

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Jimanicaのビートとシンクロして投影され、キャラクタがダンス
 
鮮烈にビートを刻んでいくJimanicaの姿に、ホログラムの映像が鮮やかにステージを彩っていく。
 
そんな生身の人間の演奏と映像が高いレベルで融合した、“ライブホログラフィックエンタテイメント施設”と銘打つ施設にとって、そして“映像と音楽の祭典”のトップバッターとしてまさに相応しいパフォーマンスでイベントはスタートした。

 
 

そこに“在る”圧倒的な存在感 Keijiro Takahashi × DUB-Russell × OBA

続いて登場したのはKeijiro Takahashi、DUB-Russell、OBAによるパフォーマンス。

開始すると共にステージ上手・下手に浮かび上がる2体の彫像と、中央に複雑な光のシェイプ。
その陰影・質感は、ホログラムと分かっていながらも、そこに彫像が実際に“在る”と感じてしまうほど圧倒的なクオリティでステージが作り上げられていく。

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質感すら感じる精緻な像がステージに投影されていく 
 
 
そしてステージ中央で繰り広げられるOBAのダンスとそれを鮮やかにとりまくホログラムの演出はまさに幻想的。

変わらず強烈な“存在感”・“実存感”を放つ彫像や花びらのようなモチーフのホログラムは、鮮やかなレンダリング・投影に加えて「バックスクリーンの影」によって、より一層の存在感を放っている。

  
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バックスクリーンに投影される影が存在感を際立たせ、ダンサーOBAと共に圧倒的な世界観を魅せつける 

 
 

9.1chサラウンド体験の可能性を示した Aqueduct × Katsuhiro Chiba

 
前述のパフォーマンスが“視覚を強烈に刺激するパフォーマンス”だとすれば、続く Aqueduct(チームラボエンジニア3人によるビジュアルパフォーマンスユニット)と、Katsuhiro Chibaによるパフォーマンスは“聴覚体験の新たな可能性を開くパフォーマンス”だと言えるのではないか。
 
 
「Katsuhiro Chiba × Aqueduct」の文字がステージに投影されてすぐにシアター全体が暗転。
 
視覚を塞がれた中、9.1chサラウンドシステムを最大限に活用された聴覚体感が始まる。

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この映像がステージに投影された後、数分間にわたって“音だけの空間”を体感する

数分間にわたって“音だけの空間”を漂った後、ステージには3D空間を飛び回る映像が投影。
その動き、すれ違うオブジェクトに合わせて音が変化していく感覚はまさにこの施設・このイベントでしか体験できない「聴覚のVR」と言えるものであった。


 
 

新しいLIVEパフォーマンスの形を示す Daihei Shibata × FEMM × Lil’ Fang × Yup’in

ここまで、ある種“アート・インスタレーション”的なパフォーマンスの傾向があった中、最も“LIVEパフォーマンス・エンターテインメント”の新しい魅せ方を示してくれたのが、FEMM × Lil’ Fang × Yup’inではないだろうか。
 
冒頭はFEMMの2人によるパフォーマンスでスタート。
ステージのフロント・バックのスクリーンに投影されていく中には、FEMMのPVをベースとした映像もあるものの、2人のダンスとの同期、そしてステージ全体に投影されていく魅せ方から「このステージの為だけに作られた映像」と感じてしまうほど、ステージ上に世界観を作り上げていく。
(終演後、改めてPVを観ることで、LIVEを思い出しながら2度楽しむことができるという発見も)
 
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またバーチャルな2人のホログラムがステージに登場する、ダンスゲームを彷彿とさせる演出も。
 
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また、後半では“Lil’ Fang(FAKY)”と“Yup’in”が参加、ホログラムで歌詞が投影されることで、楽曲のメッセージ性を高めるといった演出も見られた。
まさに音楽LIVEにおいて、テクノロジーを生かした演出が“そのLIVEの価値をどれだけ増幅できるのか”を体感できる圧巻のパフォーマンスであった。

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ライブコーディングによって次々と生み出される音の世界 Renick Bell × Atsushi Tadokoro

今回の『VRDG+H #2』のトリを務めたのはRenick Bell × Atsushi Tadokoro。

ライブコーディングという手法で、ステージ上でプログラミングを行っていき、“プログラミングで魅せながら、音を構築していく”パフォーマンスが行われた。

ステージの真ん中でスポットライトで浮かび上がるRenick Bellの姿。
打ち込んでいくコードがステージの空中に浮かぶ姿はSFを思わせる。

またステージの両サイドには縦長の映像で、Atsushi Tadokoroによる映像のライブコーディングが展開。
Renick Bellのサウンドに対して、様々なビジュアルでステージを彩っていった。

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中央にはRenick Bellが、両サイドにはAtsushi Tadokoroのコーディングが投影されていく

音・リズムやその他のパラメータを変えるプログラムコードが、Renick Bellの手によってリアルタイムで書き換えられ、発音へと送られていく。

プログラムコードという一見すると“音”とは関係性の内容に見える文字列から、音の多彩な変化が生み出され積み重ねられていく光景は、どこか魔術的な魅力も感じ、
「次はどのように書き換えられ、どんな変化を生み出していくのか」とぐいぐい引き込まれるような感覚になっていく。

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その場で書き換えられるコードが、次々と音を変えていく

そして、感謝のメッセージとともに音の積み重ねが解放されていき、VRDG+H #2全てが終演となった。
 
 
 

様々な“音楽と映像”の可能性のあり方、それを示すイベント

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“リアルのパフォーマンスとバーチャルなコンテンツの融合”、“新しい視覚・聴覚の体験”、“LIVEエンターテインメントの様々な可能性”など、
音楽と映像による新たな表現・体験の可能性を示す、『VRDG+H #2』は実に贅沢なイベントであった。
 
このようなイベントが刺激となり、LIVEエンターテインメントに新たな表現やチャレンジが生まれていくのではないだろうか。
そんな発信の場としても、極めて重要なイベントだと感じられる。
 

第3回の開催についてはまだ情報はないものの、今回を受けて次はどのようなパフォーマンスを目にすることができるのか、今から期待してやまない。
 
 
 
ソース:

 
 
 


2016-05-11 | Posted in VR/AR, イベント/LIVE | by Yuki Abe
Yuki Abe

Yuki Abe

マーケティングコミュニティプラットフォーム「cocosqure」の開発 及び 音楽・エンターテイメント音楽とテクノロジーを掛け合わせたプロダクト/サービスの情報発信および開発を行っている“エンターテック・テクノロジスト/ソフトウェアエンジニア”。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。