エンターテインメントの演出・表現におけるドローンの活用まとめ
2016-04-22

昨年は法規制など様々なニュースとなった「ドローン」。しかしその活用可能性は“ただ飛ばして楽しむオモチャ”では決してありません。現時点でもエンターテインメントにおいて様々な活用や実験が行なわれています。
 
そんな見逃せないドローンの可能性を探るべく、様々な事例をまとめていきます。
 
drone
 
 
 

自由な視点を得る“カメラ”としてのMVでの活用

「音楽・エンターテインメントでのドローンの活用法」と言われてまず思いつくのは、
搭載カメラによる撮影(空撮)ではないでしょうか。
 
昨年大きく話題となったOK Goのミュージック・ビデオ「I Won’t Let You Down」もドローンにて撮影されています。
飛行コースをプログラミングすることで“正確に同じコースを撮影することができること” 、
さらに“通常のカメラでは撮影できない位置から撮影できること”といった強みがが存分に活かされたミュージックビデオになっています。
 

OK Go – I Won’t Let You Down – Official Video
 
 
 

演出・表現としての活用、国内で先駆けるRhizomatiks Research

さらなる可能性として、「ドローン自体を“魅せる”」 ことについて考えてみましょう。
 
昨今ではドローンを演出照明として利用するケースも登場してきています。
最近ではイギリスのロックバンド MUSE がツアー「Drones Tour」にて、観客席の上空に“球体型”・“飛空船型”のドローンを演出として飛ばし、話題となっています。
一度、観客席に飛空船型ドローンが落下したことで、残念な形での話題にもなってしまいましたが…)


2:00頃にドローンが登場
 
  
また国内で、ステージ演出などの“表現”におけるドローン活用において先を行くのは、やはりRhizomatiks Researchではないでしょうか。特にダンスパフォーマンス集団ELEVENPLAYとのコラボレーションでは実験的なドローンの活用を数多く行っています。
 
例えば「fly」。事前にダンサーがドローンを手で持ち踊った情報をプログラミングすることで、ドローンとダンサーのそれぞれのダンスを融合させています。
またドローンにコーンを載せ、あえて重心をずらすことで、機械的ではない生物的な動きを表現するといった点には、単純なテクノロジーの適用ではなく、パフォーマンスへの深い理解が感じられます。


ドローンが“ダンサー”となる 「“fly”(ELEVENPLAY+Rhizomatiks, music Ametsub)」
 
 
また、「drone x spotlight」では、ドローンにスポットライトを搭載することにより、通常は動くことのないスポットライト自体を動かし、幻想的なパフォーマンスを実現しています。
 

動くスポットライトとなる「drone x spotlight _ elevenplay x rhizomatiks “Shadow”」
 
 
またRhizomatiksの真鍋大度氏と石橋素氏は、パフォーマンス・アーティストのマルコ・テンペスト氏とコラボレーションし、話題となっていたのも記憶に新しいですね。
 

イリュージョンと精密なドローンコントロールが実現する魔法 「MagicLab – 24 Drone Flight」

 
こうしたパフォーマンスとの融合は“テクノロジーの技術力の高さ”に目が行きがちですが、
時に落下する危険性や恐怖を与えるドローンと共に、寸分違わないパフォーマンスを行う“パフォーマーの技術力”、そして彼らとの信頼関係を作ることのできる“繰り返された実験実績とプランニング”によって、このような高い次元でのパフォーマンスが可能となっているのではないでhそうか。

 
 

空をキャンバスにするドローン – Sky Magic

ドローンを“魅せる”新しい事例として、株式会社マイクロアドが提案する20年先を見据えた次世代プロジェクトMagic!の第一弾「Sky Magic」は要チェックです。
 
skymagic_3
「Sky Magic」はドローンとLEDライトを組み合わせて、空に “ロゴやオリジナルの文字や形” を表現できるサービスです。
(ライトのコントロールにはステージ照明でも用いられているDMXプロトコル512を使用)
 
公開されている映像では、日本が誇る絶景「富士山」を舞台とし、20台を超えるドローンの編隊飛行、三味線の生­演奏、そしてコントロールされた1万6500個のLEDライトが一斉に空間を­デザインするライブパフォーマンスを実現しています。
 

Sky Magic live at Mt.Fuji
 
空間に情報を投影するVR的な表現も、ドローンの可能性の一つかもしれません。
 
 
なお、広い屋外での群体ドローンパフォーマンス、そのギネス記録はIntelによって行われた「Drone100」になっています。
ドローンは上下に重なると、発生する風によって容易に墜落してしまうという困難な状況。それに対して100機の飛行を実現する高い技術力のプロモーションになっています。
  

100機のドローンによるパフォーマンス 「Drone 100 | Intel」 メイキング
 
 
 

VRと組み合わせによるSFのような体験

ドローンのトレンドの一つに「VR(バーチャルリアリティ)との掛け合わせ」があります。
 
その中でも盛り上がりを見せるのは「ドローンレース」です。
ドローンに搭載したカメラの視点をリアルタイムでHMD(ヘッドマウントディスプレイ)に送り、まるでドローンに搭乗しているような感覚の中、コースを飛び回っていきます。
 
以下はその録画映像ですが、さながらSF映画の宇宙船のような体験を与えてくれます。
 

XDC Weekend Drone Racing 
 

Banni UK’s FPV as he takes on Dutch Drone Race Team
 
 
またKyle Macdonald氏は、コースを疾走するのではなく、ホバリング(空中静止)で上下することで、バンジージャンプをVR体験させる事例も届けられています。
 

ドローンカメラで体験するVRバンジージャンプ「Highsight」
  
 
  

現実を拡張するインタフェースとしてのドローン

さらに未来を予期させる活用事例を3つご紹介しましょう。
 
1つ目は以前このBAKERYでもご紹介したドローン「BitDrones」。
 
ドローンに情報を表示する“ディスプレイ”と、入力となるタッチセンサをもたせて空中に飛ばすことで、ヘッドマウントディスプレイに表示された擬似的なものではないリアルなものとして、空中でのインタフェース(コンピュータ、ネットワークとのやりとり)を実現しています。


BitDrones: Interactive Flying Microbots Show Future of Virtual Reality is Physical
  
 
2つ目は“視覚を拡張”する可能性、「JackIn」です。

JackInは他の人の視点をジャックする技術。開発された360°カメラを頭に装着し撮影した映像を、同じく開発された編集技術によって、第三者がぶれなく見渡すことができるというものです。

以下の動画では、複数人の参加者が簡易型のヘッドマウントディスプレイ(HMD)とカメラを装着して、ネットワーク越しに相互に体験を共有する「JackIn」という状況に身を置きながら、いくつかの簡単なゲームをおこなっています。参加者はこの過程を通じて、人間の拡張・人間のメディア化の可能性について考えを深められる実験になっています。


Sony CSL+YCAM共同研究開発プロジェクト「JackInワークショップシリーズ」
 
 
そして3つ目はエンターテインメントとの代表とも言える「Disney」です。
Disneyもドローンを用い、エンターテインメント界及び広告界の前進と自ら称する「UAVを用いたプロジェクション構造」の特許を申請しています。
原理としては透明フィルムとプロジェクターを利用し、空中に自在にエフェクトや映像を表示する技術のようです。

disney_patent
DRONE explore the futureより、Disney社が申請したとされる資料
 
テーマパークでの新たな“魔法”が生まれるかもしれません。
 
 
 

VRなど様々な技術と結びつき、広がる可能性

様々な事例についてまとめてきましたが、いかがだったでしょうか。

ドローンで“撮り”、ドローンを“魅せ”、ドローンに“乗り”、ドローンで“現実を拡張する”。
現在IoTやVR/ARなど様々な技術との掛け合わせによって、より可能性は広がっていくのではないでhそうか。

BAKERYでは今後も、ドローンと音楽・エンターテインメントの関係と可能性を追っていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


Yuki Abe

Yuki Abe

マーケティングコミュニティプラットフォーム「cocosqure」の開発 及び 音楽・エンターテイメント音楽とテクノロジーを掛け合わせたプロダクト/サービスの情報発信および開発を行っている“エンターテック・テクノロジスト/ソフトウェアエンジニア”。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。