Flying Tokyo #15 Elliot Woods氏によるRulr Workshop レポート
カテゴリ:イベント/LIVE
2016-01-20

昨年12月に行われた「Rhizomatiks Research」代表 真鍋大度氏がオーガナイザーとして定期的に行われているイベント「Flying Tokyo」の第16回 Rulr Workshopをレポートします。


Flying Tokyo #15 公式ページより
 
Elliot Woods氏、花井 裕也氏による第16回のテーマは「Rulr Workshop」、Rhizomatiks Researchオフィスにて開催されました。
 
 

Rulrとキャリブレーション

Rulrとは、アートユニット「Kimchi & Chips」によって開発された空間キャリブレーションを可能にする、オープンソースのツールキットです。
 

「RULR」は、カメラやキネクトなどのデバイスを用いて、リアルタイムの空間キャリブレーションを可能にする、オープンソースのツールキット。リアルタイムのグラフィックをopenFrameworksやVVVV、Processingなどを用いて生成し、物理空間との融合でインタラクティブなビジュアル体験を生み出すためのものです。例えば、キャリブレーションの結果を動く物体へのハイライトに反映したり、インスタレーションの訪問者の顔の3Dロケーションをカメラによって提供するなどの機能があります。
Flying Tokyo #15 公式ページより

 
Rulrを理解する際、この中でも “キャリブレーション” が重要な概念になります。
一般的に「調整」を意味するこの単語。Rulrは リアル空間 と デジタル 間の“キャリブレーション”を効率化するためのツールだと言えるかもしれません。
 
昨今流行のプロジェクションマッピングなど現実空間にて光で表現を行う際、「光を投影する空間や立体物」や「プロジェクターのレンズの歪み」を、処理するソフトウェア側が正確に把握し投影する必要があります。
さらに動く “物体”や“人” を表現に取り込むには、上記に加えてさらに 「動きを取り込むカメラがどこにあるのか」、「カメラとプロジェクターの位置関係は」などより高いレベルで リアル空間とデジタル空間のキャリブレーションが必要となる、それを可能とするのがRulrです。
 
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Rulrの画面 グラフィカルにノードを繋げることで設定を行っていく
 
今回のワークショップでは、Rulrを開発したアートユニット「Kimchi & Chips」の一人であるElliot Woods氏を講師に迎えて、このRulrを利用したアートワークを実践的に行っていく内容となりました。
 
 

Rulrを利用した事例


Kimchi & Chips – Light Barrier –
 
プロジェクターとミラー、そして空中に収束する光を正確にキャリブレーションすることで、空中への光の表現を実現している。
 
 
 

キャリブレーションの実践へ

ワークショップは冒頭、講師お二人の事例紹介。一部まだ非公開の作品紹介も交えての導入に期待が高まります。
その後、実際にRulrを利用したキャリブレーションの実習がスタート。
 
“Webカメラのキャリブレーション”を通じてレンズの特性や歪みをRulrで自動補正していく実習、また、“Kinect と プロジェクターのキャリブレーション”を行い、その結果をopenframeworksのインプットとすることで、実際に動く人へのプロジェクションを行うなど次々と実践が行われました。


daito manabe氏Instagramより出典。チェッカーボードを利用し、カメラの特性を読み込む風景
 
IMG_1156
Kinectとプロジェクターを利用し、動く人の残像をプロジェクション
 
ワークショップを通じ、Woods氏は「カメラにもプロジェクタにも、ピクセル・フレームレートがあり、それぞれのレンズの特性が画角や歪みを生んでいる」という視点や
「PhysicsとDigitalの融合」、「素材による違い というデザイン性」についても言及。
様々な表現に応用可能なコンセプトを示していました。
 
 

Cannon DSLRを使った3Dスキャン

また2日目はCannon DSLRカメラとプロジェクターを利用しての3Dスキャンの手法を実践。
この3Dスキャンの原理はWoods氏の作品「LINE SEGMENTS SPACE」でも利用されています。

Line Segments Space 2013 from Mimi Son on Vimeo.

Kimchi & Chips – LINE SEGMENTS SPACE –

この3Dスキャンを行うためのボックスの製作や投影対象とするオブジェの作成、機材の配置、そして
 ・DSLRカメラのレンズキャリブレーション
 ・Kinectとプロジェクターのキャリブレーション
 ・KinectとDSLRのキャリブレーション
といったキャリブレーションをチームごとに実際に実施。
そしてRulrの機能にて、様々なストライブのパターンを投影して3Dスキャンを実施。
さらにそのデータをもとにopenframeworksで読み込む手順までを体験することができました。
 
IMG_1164
キャリブレーション後、Rulrの機能にてスキャンしている風景
 

この他にも「RulrをカスタムするためのCoding Tips」や「Light BarrirでのRulr利用例」、その他表現の元となるアイディアや視点など、今後の活用や実際に利用する際の情報も含め、充実の2日間となったワークショップとなりました。
 
 
 

デジタルとリアル空間の融合、今後の活用に向けて

2日間にわたって演習をメインに進められたこのワークショップでは、Rulrというツールの利用法だけでなく、Woods氏の表現に対する視点や、光の考え方など様々な発見と共有に溢れた場だったと感じています。
また、上級者向けにもかかわらず丁寧なサポートがなされており、心から楽しめるワークショップでした。
 
音楽イベントなどにも利用可能なこの技術、今後は積極的に磨きながら、BAKERYとしても活用してきたいと考えています。
 
今後もFlying Tokyoでは様々なワークショップが開かれる予定とのこと。
皆様も是非参加し、実際に表現を生み出す瞬間を肌で感じてみてはいかがでしょうか。
 
  
ソース:

 
 
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
 


2016-01-20 | Posted in イベント/LIVE | by Yuki Abe

Yuki Abe

音楽・エンターテインメントとテクノロジーに焦点を当て 「音楽・エンターテインメントが持つ魅力・パワーを高め、伝える体験(演出や技術、それらを活用したマーケティング施策など)」、 「アーティストやクリエイター、音楽業界がよりエンパワーメントされるような仕組み(エコシステムや新しいビジネスの在り方)」 を発信・創造していくことに取り組んでいるクリエイティブ・テクノロジスト/ライター。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。その他、LIVE演出やVJの技術開発にも取り組んでいる。