芸術家が表現を行う際に必ず直面する“表現の場の限界”。
「表現を行う会場/スペースの限界」は新たな創作を生む側面もありますが、時として表現を制限してしまうこの限界を取り去ろうとするプロジェクトが “PAPER-THIN” です。
“PAPER-THIN”はDaniel Alexander SmithとCameron Buckleyによって運営・キュレーションされているバーチャルアートギャラリー・プラットフォームです。
現実のモダンアートスペースのように、建築家と共にデザインされた空間の中で、アーティストは重力や空間の制限を受けず自由に表現を行うことができます。
各部屋が展示で利用され尽くした場合には、また新たな部屋を建築家と共に設計し用意されるため、入れ替えもなく無期限で展示を続けることができます。
さらに各部屋の状態をコントロールするパラメータは、各アーティストが設定できるようになっているようです。
鑑賞者は、Webブラウザを使うことでこの空間を自由に歩き回ることができ、実際のアートギャラリーにいるかのように体験し、インタラクションすることができる空間になっています。
(移動はキーボードの十字キーで、視線はマウスで移動することができます。)
すでにいくつかのインタレーションが、アーティストによって展示されており、Chromeを除く各ブラウザにて空間を歩き回ることができるようになっており、今後も伝統的なギャラリーに縛られないアーティストへ、活動の場を提供していきたいとのことです。
http://www.paper-thin.org/
– Comment –
建築家と共に設計された“現実的な”スペースで展示されるのは、現実の重力や空間を超えたアート達。
こういった、デジタルアートスペースはこれまでのありましたが、より「現実とデジタルを一体化させる」方向へと進んできているように思います。
(“PAPER-THIN” では、実際に建築家が空間を設計している、というのも興味深いですね。)
また、VRの普及により、一層こういったデジタルスペースにおける表現活動は進んでいくのではないでしょうか。
こういった動きが音楽として進むと、“デジタルライブスペース”が出来ていくのかもしれませんね。
VRゴーグルを装着してプラットフォームを訪れると、日本中の現実の各ライブハウスがトレースされてデジタル空間にも展開されており、実際にライブ体験をすることができる。
またデジタル空間での観客が現実のライブハウスで投影される、なども面白いかもしれません。
(そういった意味では、デジタルスペースでのライブ、アーティストと観客のコミュニケーションができる点で、プラットフォームとしてはSHOWROOMが進んでいると言えるかもしれません。)
そういった視点でサービスなどを捉え、新たに創り出していきたいですね。
ソース:
- PAPER-THIN
http://www.paper-thin.org/
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音楽・エンターテインメントとテクノロジーに焦点を当て 「音楽・エンターテインメントが持つ魅力・パワーを高め、伝える体験(演出や技術、それらを活用したマーケティング施策など)」、 「アーティストやクリエイター、音楽業界がよりエンパワーメントされるような仕組み(エコシステムや新しいビジネスの在り方)」 を発信・創造していくことに取り組んでいるクリエイティブ・テクノロジスト/ライター。 「SXSW2017 Trade Show」出展コンテンツ制作やレポート発信をきっかけに、イベント・メディアへ登壇・出演。その他、LIVE演出やVJの技術開発にも取り組んでいる。